はじめに
画像生成AIをローカル環境で動かせるStableDiffusionでは、PCスペックの高さが生産性に直結します。今回は画像生成AIにおけるグラフィックボード(GPU)の重要性とオススメのGPU、PCパーツを紹介します!
画像生成AIにおけるGPUの重要性
1枚あたりの画像生成速度の向上
画像生成には膨大な計算が必要です。高性能なGPUを使えば、1枚あたりの画像生成速度を向上させられます。
同時生成枚数の向上
VRAM容量の大きなGPUであれば、1度の生成で作れる画像枚数(バッチサイズ)の上限値が向上します。生成速度向上との相乗効果で短時間で大量の画像を生成できるようになります。
クオリティの向上
VRAM容量の大きなGPUであれば、高解像度で画像を出力できます。出力解像度は品質に直結するので、クオリティのさせるためにはGPUが重要になります。
StableDiffusionの要求スペック
StableDiffusionの開発元Stability.AIによる必要なスペックの明確な記載はありません。
しかし、StableDiffusionを動かすうえではNvidia製のGPUが推奨されています。
GPUといえばAMD製のRadeonなども有名ですがRadeonはStableDiffusionとの相性が悪く、画像生成速度がかなり遅いため絶対NGです。間違って買わないようにしましょう。
一度に多くの画像の生成や解像度を上げて出力できるためビデオメモリ(VRAM)の容量が高いほど、画像生成には有利です。
GPUごとの性能比較
NvidiaのGPUを比較表にまとめました。GPUの価格帯は記事作成時の相場を反映した目安です。パフォーマンスは1秒あたりのStableDiffusionの処理数(iterations)を示しています。
GPU名称 | VRAM容量 | 価格帯 | パフォーマンス[It/sec] |
GeForce RTX 3050 | 8GB | 約4万円 | 4.931 |
GeForce RTX 3060 | 12GB/8GB | 約5万円 | 7.239 |
GeForce RTX 3060 Ti | 8GB | 約6万円 | 9.146 |
GeForce RTX 3070 | 8GB | 約9万円 | 10.937 |
GeForce RTX 3070 Ti | 8GB | 約10万円 | 11.637 |
GeForce RTX 3080 | 12GB/10GB | 約14万円 | 14.101 |
GeForce RTX 3080 Ti | 12GB | 約16万 | 17.429 |
GeForce RTX 3090 | 24GB | 約20万 | 17.789 |
GeForce RTX 3090 Ti | 24GB | 約25万 | 19.238 |
GeForce RTX 4080 | 16GB | 約20万 | 23.504 |
GeForce RTX 4090 | 24GB | 約30万 | 28.923 |
オススメするグラフィックボード
コストパフォーマンス重視
コストパフォーマンスを重視する方におすすめのグラフィックボードはGeForce RTX 3060です。VRAM容量も12GBあり、3000シリーズの低価格モデルの中では秀でています。
価格も約5万で手を出しやすいです。
RTX3060にはVRAMが8GBのモデルもあるので間違ってそちらを買わないように注意してください。
VRAM重視
VRAMを重視する方におすすめのグラフィックボードはGeForce RTX 3090です。
VRAM24GBモデルの中ではコストパフォーマンスに優れています。
しかし価格は約20万と勇気のいる値段ですので、ある程度本気で取り組みたい方向けです。
自前のLoRaモデルを作りたいなど専門的な用途に使う場合にも良いグラフィックボードです。
性能重視
性能を重視する方におすすめのグラフィックボードはGeForce RTX 4090です。
価格は約30万と高額ですがコンシューマ向けグラフィックボードの中で最高性能を誇るグラフィックボードです。
高価なため界隈でもこのグラボを所有している人は少ないです。しかし、画像画像生成を極めたい方やプロフェッショナルの現場で画像生成を活用したい方、動画生成AIを活用していきたい方にはおすすめです。
ちなみに、ChilloutMixの製作者TASUKU様はこのグラフィックボードを使用しています。
オススメのグラボメーカー
GPUというのは内部のチップはNvideaが製造していますが、チップに電装部品やファンなどを付属したものをいろんなグラボメーカーが販売しています。
グラボメーカーにはMSI、ASUS、玄人志向など様々なメーカーがあり、同じGPUでも各メーカーごとに特色があります。
ファンの静音性や冷却性能の高さが魅力のMSI製のグラフィックボードが個人的にオススメです。
購入前にチェックすべきポイント
予算
最新のグラフィックボードは高価ですが、予算に応じて選べるよう、様々な価格帯の製品がラインナップされています。
静音性能・冷却性能
静音性能や冷却性能にも気を配りたいところです。画像生成AIを動かす際には通常のゲームと異なり100%近い負荷を連続的にかけることになり、PCの内部温度が上昇します。
PCに多く使われているコンデンサと呼ばれる部品は、温度が高くなると寿命が短くなることが知られていて、冷却性能が低いGPUではPC自体の劣化を速める可能性があります。
GPUを選ぶ際は、シングルファンモデルよりもマルチファンモデルが静音性冷却性ともに高くなるのでオススメです。
消費電力
各消費電力は以下になります。消費電力に応じて必要な電源も変わってきます。電力が足りない場合は電源の交換も視野に入れましょう。
- RTX3060:消費電力170W,推奨電源ユニット容量:550W以上
- RTX3090:消費電力370W,推奨電源ユニット容量:750W以上
- RTX4090:消費電力450W,推奨電源ユニット容量:850W以上
GPUサイズ
RTX 3060は比較的小型ですが、RTX 3090やRTX 4090はグラフィックボードのサイズが大きいです。一般的なミドルタワーケースには収まらないサイズなので注意してください。フルタワーケースの購入も検討する必要があります。
用途
画像生成だけでなく、ゲームや映像編集など、他の用途にも使いたい場合はそれらに適したグラフィックボードを選ぶことが重要です。GeForceのRTXシリーズはレイトレーシング(ゲームのグラフィックで水面の反射や、木漏れ日の微妙な陰影などをよりリアルに表現する技術)に対応しています。マインクラフトで公式の影MODを入れて遊んだり、ホグワーツレガシーでレイトレONの最高画質設定で遊んだりしたい場合にもRTXシリーズはオススメです。
中古商品について
GPUを中古で購入すると価格を安く抑えられるメリットがあります。しかし、中古でGPUを購入するのは個人的にはお勧めしません。理由としては、中古商品は保証が受けられない場合が多いことと故障リスクが高いことです。保証は購入するショップによっては受けられることもありますが、メルカリやフリマアプリなどではほぼ保証はありません。また、中古商品は仮想通貨のマイニングなどで酷使され相当に劣化している場合があり、故障リスクが高いです。
その他のPCスペック
グラフィックボードを最大限活用するためには、PC本体のスペックも十分であることが大切です。CPU、メモリ、電源ユニットなど、互換性とバランスを考慮して選びましょう。
画像生成AIを動かすうえでおすすめのPC
グラフィックボードを買って自分のPCに組み込むにはある程度PCに関する知識が必要です。
自分で組み立てるのが難しそう、組み立てるのが面倒くさいと思う方はこの際新しくゲーミングPCを買ってしまうのが手っ取り早いです。
こちらは老舗メーカー『マウスコンピューター』の販売する、私がオススメのゲーミングPCです。
16GB版のRTX3060、1TBのSSDメモリを積んでいるので快適に画像生成できます。
まとめ
最新のグラフィックボードは、StableDiffusionにおける画像生成を劇的に進化させるために不可欠です。予算や用途に応じて適切なGPUを選びましょう。グラフィックボードの交換が難しそうだという方にはゲーミングPCを購入するという選択肢もあります。ぜひこの機会に、最高のPC環境を手に入れて、StableDiffusionでの画像生成を存分に楽しみましょう!
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